米国「アブソルート・サウンド」誌ウエブ版に
投稿されたコメント



 下記は米国「アブソルート・サウンド」誌ウエブ版に投稿されたコメントの翻訳文である。
原文⇨http://www.avguide.com/blog/ces-reflections-size-value-and-worth


2010年1月14日  Mr.Plus(アラン・サーコム、英国ハイファイプラス誌編集長)

 11時間の帰りのフライトが遅れて到着した後時差のため午前3時に目覚めいつになったら体内時計がもとに戻るのだろうと考えているうちにCESで目にした製品について、より広い意味で深く考えることができた。
 ショーで最高の音をだした同じ価格帯のスピーカーを二つ選ぶとしよう。KISO ACOUSTIC HB.1(T.H.E.SHOW会場)とMARTEN HERITAGE GETZ(ベネチアンタワー29階、EARルーム)を比べてみよう。両者とも1ペア約2万ドルでそれぞれとても異なったタイプの部屋で違うアンプを使っていて(KISO ACOUSTICはKRELL FBI, MARTENはEAR912と509)両者とも卓越した音をならしていた。KISO ACOUSTICはよりコンデンサースピーカーのような音質でMARTENはよりダイナミックで非常に開放的な音だった。MARTENは低音ののびがより良く、KISOはショーの展示品の中で最も開放的な中音高音をだすスピーカーのひとつであった。これらの違いを考慮したうえで、もしこの2種しか入手できないと仮定すると、2万ドルのスピーカーが5台売れるたびに、うち3台はMARTEN,2台はKISOであるという可能性もありだろう。
しかし本当にそうだろうか?
 2万ドルあれば高さのある重い、複数のスピーカー・ユニットのあるピアノのような光沢のそびえ立つスピーカーを購入できるし、1フィートより少し高いウーファーとツイーターが特徴のスピーカーを買うこともできる。車のエンジンのように重いスピーカーを買うこともできるし、ホイールキャップとあまり重さの変わらないものを買うこともできる。つまりスピーカーの外観のみを考えれば、MARTENの方がお買い得なのだろう。外観は購入決定に大きく影響するのである。
 我々は音質で、音質のみでスピーカーを決めるべきである。しかし私がKISOの部屋にいる間多くの人々が部屋に入ってすぐ「冗談じゃない」という顔をして出て行ってしまうのを見た。この第一印象を越えた数人は、「これは買うべきかも」という表情をしていた。私もそのうちの一人である。
 両スピーカーの高価格については疑う余地はないと思う。なぜなら、KISOのキャビネットは職人技巧であり楽器職人が参加し時間をかけた製作工程を経なければまねできいない設計である。(真に手作りのアコースティックギターを買ったことのある人なら誰でもその製作工程がいかに長く、高価で価値のあるものかを証言できる)一方でGETZは美しいつくりでスエーデンから非常に重い(その意味ではより伝統的なスピーカー)梱包物として運ばれて来たものである。両者とも値段相当の価値がある。ただ両者はまったく違ったスピーカーなのである。
 KISOのスピーカーはこのレベルの製品にあまり類をみないほど、我々の固定観念を変えるものである。時には小型で高価なスピーカーにお目にかかることはある−−最も目立った例はMAGICO MINI IIであるが、それさえこれほど小型でなく戦車のようなつくりをしている。KISOは極めて小さく軽く音が良くとても値段が高い。「1ドルあたりの音」で考えると、その存在以上の値段であるが、そう思わない人もいるだろう。スピーカーの価値はその音にあるのかサイズにあるのか?オーディオ界はとても小さいサイズの高品質な製品を受け入れる用意はあるのか、それとも「大きいほど良い」の判断にとらわれて、小型スピーカーの価値が見えなくなっているのだろうか?

 

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